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この1年で大きく変わったAIとの関わり方 ─ CREの場合

はじめに

こんにちは、プロダクト運用部CREチームの大畑です。

1年ほど前にブログ記事を担当しましたが、実は他にも「業務でのAIの使い方について」というドラフトを書いていました。今回、記事を担当するにあたって眠っていたドラフトを改めて読んでみると、「たった1年でこれだけ変わるのか」とちょっとしみじみしました。

さすがに当時のままでは使えませんが、そのままにするのも惜しい記録です。
そしてCRE業務におけるAIとの関わり方がこの1年で劇的に変わった事もあり、そのドラフトは今の状況を比較するのに最適な「記録」となりました。

今回は1年前の2025年と、2026年現在での変化を比較してみたいと思います。

AIはツールから相棒へ

業務でAIを活用しはじめた1年前(2025年)から現在(2026年)の変化をまとめてみました。

ちなみにこの比較のさらに前、2年前(2024年)はAIは導入されておらず「すべての物事を自力でやる」のが当然の時代でした。
AIが利用可能になった当初は「作業が振れる!」と私の中ではお祭り騒ぎだったことも思い出しました。

観点 1年前(2025年) 現在(2026年)
AIの扱い 優秀な「ツール」 一緒に動く「バディ」
生成AIツール Q, ChatGPT for Slack / GitHub Copilot / Cline / Devin を用途別に使い分け Claude Code に集約
主なLLM Claude-3.5-Sonnet / gpt-4o / o3-mini / Gemini-2.0-Flash を比較しながら Claude(Opus)中心
効率化 VSCodeプラグイン / カスタムインストラクション MCP / skill / subagent / memory
問い合わせ調査の所要時間 一定の結論まで2〜4時間 最短1時間程度

この1年の変化は「ツール」から「バディ」へ。これはかなり大きな変化です。

1年前のドラフトではツールとLLMを4つを利用し、「ざっくり質問はこれ」「具体的だとこれ」と比較しながら使い分けていました。
さらに「質問を作り込まない」「3回間違えたらセッションを切る」みたいな、今となっては1周回った様なノウハウも書かれています。

今はClaude Code 1本に集約されました。

MCP(外部のツールやデータに安全に接続して仕事を実行できる仕組み)、skill(手順を型として渡す仕組み)・subagent(並列にタスクを走らせる仕組み)・memory(前提を会話間に持ち越す仕組み)の組み合わせが使える様になり、結果としてAIが人と変わらず動ける様になっています。

 1年前のAIは「優秀なツール」。いつ、どこでどのAIに何をやらせるかが重要でした。
 今は「バディ」。使い方は1年前と大きく変わっています。

次の章では変わったところを具体的にみてみます。

具体的に変わったところ

 不具合調査の流れを元に変わったところを整理してみました。

作業 1年前(2025年) 現在(2026年)
過去事例検索 キーワードを類推して Backlog / Slack / GitHub を複数箇所で手動検索 事象を伝えるだけでAIが横断検索(セマンティック検索等も実施)
DB調査 テーブル構造を確認→SQL自作→踏み台SSH→psqlで実行 自然言語で依頼→AIがテーブル選定・JOIN組み立て・実行まで
AWSログ コンソールにログインしてフィルタを手作業 CloudWatch を含め自動で横断検索
コード調査 ローカルで grep → 該当行を目視で読み込み エラー内容から該当ファイル・該当行まで自動特定
連絡文・エスカレ 全部自分で書く たたき台をAIが作成、人は推敲と判断

1年前はツールとして補助的な使い方でしたが、今は主体的・自動的に動く様に変わっています。

例えばDB調査。
1年前は以下の様な手順でDB調査を行っていました。ほぼ手動操作で、資料の確認してSQL文の作成指示、エラーで動かないSQL文を修正してもらう、という様な個別の事柄にAIを使っていました。

[1年前の手順]

1.サーバーに接続する。
2. 接続コマンド(psql)を叩いてDBへ接続。
3. SQL文を作成する。
4. 実行して結果を控える。
5. 必要な情報が得られるまで3,4の繰り返し

他の工程も同じ様に細かい作業の積み重ねです。
そのため1年前は各種調査と結果の整理だけで4時間程度かかる事もザラでした。

ですが今では「問い合わせ内容はこのURLに書いてあるから内容確認して調べて」とClaude Code に指示するだけ。
その後はAIが自律的に動き、自分の手元には調査結果と結論が最短1時間程度で表示されるので、生産性は跳ね上がりました。

調査結果についての変化点もまとめてみました。

変化 1年前(2025年) 現在(2026年)
速度 一定の結論まで2〜4時間 最短1時間程度
粒度 自分で組めるSQL・読める量から上限がある 参照量が増え、調査の網が細かくなった
属人性 「あの人じゃないと分からない」が発生しがち skill / ナレッジで誰でも同じ品質で進められる

属人性の解消については、「CREチームをAIネイティブにする:Claude Code活用基盤の構築」(2026-05-15)」でも触れられていますので、よろしければご参照ください。

またAIが動いてくれることで、自分の役割は「(SQL作成など)手を動かすこと」から、AIが出した情報や結論について、妥当性・整合性・抜け漏れを確認し、必要に応じて方針などを「決めること」へシフトしています。

この私の役割がシフトした事で、ハルシネーションの注意するべき事も変わっています。

新たな問題:ハルシネーション検出の難化

AIに対する私の役割は大きく変わりました。
注意する点はハルシネーションである事に違いないのですが、注意すべき内容が変わっています。

1年前は間違ったことを堂々と出してきました。
誤った関数名を出す、存在しない設定キーを提案する、機能の内容を誤って捉える、といった分かりやすいものです。
なので軽く確認すれば間違っている事が大体見抜けるレベルが多かった印象です。

今も堂々と間違えますが、それらに加えて「結論 〜根拠とハルシネーションを添えて〜」の様なものが出てきます。
DBを参照し、コードを読み、ログを確認した上で出てくるハルシネーション。
こうなるとAIが提示する情報の根拠と詳細を自分が理解していなければ見抜けません。

ハルシネーションの変わった点を整理してみました。

観点 1年前(2025年) 現在(2026年)
注意すべき点 文章内のもっともらしい誤り DB・コード・ログを根拠にした、よりもっともらしい誤り
判断材料 自分で集めた一次ソース AIが提示した一次ソースの読み込み・情報の突き合わせ
求められる姿勢 プロンプトとセッション運用の工夫 結論を差し戻すだけの知識と判断軸

実際にハルシネーションである、と自チームだけでは見抜けなかった事例も紹介させて下さい。

  • AI「プロダクトAのフロント挙動の異常(データとコードの証拠付き)」
  • 自分「仕様を全て把握してないが、異常っぽく見えるので不具合か開発チームAに確認」
  • 開発チームA「正常な挙動で仕様通り」

    ~開発チームAの指摘によりAIの判断を誤りとし、観点を変えて再調査~

  • AI「プロダクトBの別人の情報と紐付く不具合(データとコードの証拠付き)」

  • 自分「仕様を考えると明らかにおかしいので開発チームBに確認」
  • 開発チームB「指摘通り不具合」

今回は開発チームからの指摘で誤りに気づき再調査を行いましたが、場合によってはお客様に誤った内容をご案内し、直接ご迷惑をおかけする事にもつながりかねません。
「確たる証拠なしに判断すると間違える」ということを感じた事例でもあります。

この例の様にAIが流暢に「異常です」と結論付けても最後に判断するのは結局自分です。
より流暢になったハルシネーションを見抜くには、一層深いプロダクトの理解も必要です。

それでも変わらないもの

使うツールや役割は大きく変わりましたが、それでも原則は変わりません。

  • 判断するには知識が必要。
  • 観測と推論を混ぜない。
  • 確たる証拠をもって決める。

これらは特別新しい考え方ではありませんし、昔から守ろうとしていた原則でもあります。
※とか言いつつも、未だに守りきれておりません。今後も精進するのみです。

今はAIが大量の情報と併せて一気に結論まで持ってくるようになりました。
そのお陰で楽になったのは事実です。その情報量の多さから、AIのそれっぽい結論へ飛びつきたくなります。
ですが役割が「決めること」になった今だからこそ、AIの結論にただ飲み込まれてはいけない。
AIが盛り上がってる今だからこそ、この基本が大事だと改めて感じています。

おわりに

AI活用の次として、現在は「不具合再現の自動化」に取り組んでいます。

問い合わせ内容から、AIが不具合の原因を特定し、原因から不具合操作の手順を構築、再現確認まで自動で行う ── そんな仕組み化を進めています。SPIDER+については一定再現できる様になりました。今は他プロダクトへの適用も計画しています。
1年前からガラッと変わった様に、1年後にはまた違う景色になっているはずです。

最後に大事なことを。
スパイダープラスでは仲間を募集中です。AIを使いこなしたい方、AIによる時代の変化を感じたい方、AIなんかにゃ負けないぜ、という方、ぜひお気軽にご連絡ください。

https://hrmos.co/pages/spiderplus/jobs/0000067/apply